ー遺言書が無効になるケースとは?無効にする方法も解説ー
2024.03.22
遺言書とは、亡くなった人の意志として尊重されるものですが、無効になるケースがあります。
終活が話題になったこともあり、近年では遺言書を作成する人が増えてきていますが、無効になる遺言書も少なくありません。作成した遺言書を無効にしたいために、どのようなケースが無効になるのかを解説します。
また、遺言書の内容に納得できない場合に、無効にする方法も確認しておくことがおすすめです。
遺言書が無効になる場合
遺言書の形式は法律で定められていて、決められた形式に沿わないものは無効になることがあります。どのようなケースが無効になるのか、見ていきましょう。
自筆で書かれていない
自筆証書遺言は、すべて自筆で書かなければなりません。パソコンなど、自筆以外で作成した場合は無効になります。
2019年1月の法改正により、財産目録だけはパソコンで作成できるようになりました。しかし、遺言書もパソコンでの作成が可能になったという勘違いにより、無効になるケースが出てきています。
署名・押印がない
遺言書には遺言者の署名と押印が必要で、なければ原則として無効になります。署名に関しては、基本的には戸籍上の氏名です。しかし、本人と同一であることが特定できれば、芸名や通称などでも問題ありません。確実に特定できる場合のほかは、戸籍上の氏名を署名するほうがよいです。
押印も忘れないように気をつけましょう。認印や拇印でもよいのですが、トラブルを避けるためには実印を使うのがおすすめです。
日付がない・日付が特定できない
遺言書を作成した日付がない場合や、日にちが特定できない曖昧な書き方は無効となります。たとえば、「末日」だと月の最後の日だとわかるので有効ですが、「吉日」だと特定できないので無効です。
複数の遺言書が存在すると、日付の新しいものが有効となります。そのためにも、日付は重要なものとされています。
内容が不明瞭
遺言書で大切なのは、どの財産をだれに相続するのかが明確であることです。
「銀行預金」だけでは、どの銀行のどの預金なのかが不明瞭なので、銀行名や支店名、口座番号まで明記しておきましょう。
また、「相続する」または「遺贈する」と記載されていれば、相続する意思がわかりますが、「託す」「任せる」では相続なのか管理の依頼なのかがわかりません。
内容が公序良俗に反している
公序良俗に反する代表的なものが、不貞相手への相続です。しかし、必ずしも無効になるとは限りません。相続人への影響や、不倫関係の継続目的の有無などによって判断されます。
訂正方法が誤り
加筆や削除されていても問題ないのですが、訂正方法に誤りがあれば無効になります。訂正方法は細かく定められているので、注意が必要です。
訂正する場合、該当部分に二重線を引き、訂正印を押印し、新しい内容を記載します。しかし、これでは不十分です。余白部分または遺言書の末尾に、何文字削除したなど、訂正の詳細を記さなければなりません。
共同で書かれている
夫婦で遺言書を作成する場合など、1通の遺言書を2名以上で作成したものは無効です。共同遺言は夫婦であっても認められないので、別々に作成しなければなりません。
作成者に遺言能力がない
認知症など、遺言書の内容を理解する能力がないと判断された場合は、無効となります。
遺言能力の有無は年齢も関係し、遺言書を作成できるのは15歳以上と定められています。作成した時点で15歳未満であれば、その遺言書は無効です。親権者が代理で作成したとしても、遺言者の年齢が15歳未満だと無効になります。
遺言書を無効にする方法
相続する場合、遺言書の内容に納得できないケースがあります。遺言書に書かれた内容を、無効にする方法を解説しましょう。
遺産分割協議
相続人全員の合意があれば、遺言書に書かれた内容と異なる方法で、遺産を分けることができます。
調停や訴訟となると、時間もお金もかかるので、話し合いで解決できる内容であれば、遺産分割協議で話し合って決めるのがおすすめです。
遺言無効確認調停
遺産分割協議で意見がまとまらなかった場合は、調停や訴訟での争いに発展します。遺産無効確認については、訴訟の前に調停を申し立てることが必要です。
遺言無効確認調停では、調停員が間に入り、相続人同士で合意できるように話し合いがおこなわれます。
遺言無効確認訴訟
調停で解決できなかった場合は、地方裁判所に訴訟を提起します。原告と被告の主張と立証をもとに、最終的に裁判官の判決で相続が決まりますが、和解するケースも見られます。
作成した遺言書を無効にしないための方法
せっかく作成した遺言書が無効になっては、作成した労力と相続人への気持ちがムダになってしまいます。無効にならない遺言書を作成するためには、次のポイントを押さえておきましょう。
ルールに従って作成する
遺言書はルールに沿って作成しなければなりません。専門書を参考に、正しい遺言書を作成しましょう。
また、難しい言葉を使う必要はありません。難しい言葉を使って作成しようとすると、異なる意味になるケースも見られます。居住している家の土地と建物の両方を配偶者に相続するつもりが、表現方法を誤ったために片方だけの相続になり、相続した配偶者は家を売却せざるを得なくなってしまった事例があります。
公正証書遺言にする
公正証書遺言だと、無効になることはほとんどありません。しかし、遺言者の判断能力に問題があれば、公正証書遺言でも無効になることがあるので、注意が必要です。
専門家に相談する
遺言書は細かいルールがあり、ルールに従って作成しなければ無効になる可能性があるため、専門家に相談して作成すると安心です。行政書士など遺言書にくわしい専門家に相談すると、作成だけでなく、作成した遺言書の保管を依頼することもできます。
また、作成方法の相談だけでなく、相続内容についても相談が可能です。
まとめ
遺言書は、正しく作成しなければ、無効になる可能性があります。自分が作成した遺言書が無効にならないために、どのようなケースが無効になるのかを知っておきましょう。無効にしないためには、行政書士に相談し、ルールに従った正しい遺言書を作成すると安心です。
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