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「夫婦二人暮らし」でも遺言書が必要?

2021.01.29

遺言書の話をするときに、

「うちは夫婦二人で子供がいないから、自分が死んでも相手に行くだけだ」

と、言われる方があります。

 

本当にそうでしょうか?

民法に「法定相続人」という言葉があります。

簡単に言うと、財産の相続人のことです。

その民法によると、夫婦二人暮らしといっても、4通りあるとしています。

 

①「夫婦二人暮らしで子供がいない」ときで、「亡くなった方の親」が存命のとき

②「夫婦二人暮らしで子供がいない」ときで、「亡くなった方の親」も既に他界しているが、「亡くなった方に兄弟姉妹」がいるとき

③「夫婦二人暮らしで子供がいない」ときで、「亡くなった方の親」も「亡くなった方の兄弟姉妹」も既に他界しているが、兄弟姉妹に子供(甥・姪)がいるとき

④「夫婦二人暮らしで子供がいない」ときで、「亡くなった方の親」も「亡くなった方の兄弟姉妹」も既に他界していて、兄弟姉妹に子供(甥・姪)もいないとき

 

この中で、自分が死んだときに財産の全てが配偶者へ相続されるのは、④だけです。

①~③に当てはまっていれば、財産の一部は亡くなった方の親か兄弟姉妹、あげくには甥や姪にも相続の権利が出てきます。

これは民法で認められた権利ですが、遺言書を書いておけば、この額(割合)を抑えることができます。

 

①のケースで遺言書が無い場合

配偶者に財産の2/3、親に1/3相続されることになっています。

この割合を遺言書で変えることができます。

 

ここで注意が必要なのですが、

配偶者は2/3の50%、つまり1/3は財産をもらう権利が残ります。

親も同様で、1/3の50%、つまり1/6は財産をもらう権利が残ります。

この権利を「遺留分」といい、遺言書よりも強いものです。

しかし、遺言書に「配偶者である〇〇に、5/6を相続させて、親に1/6を相続させる」と書いておけば、

全部でないにしろ、ほとんどの財産を相続させることができます。

 

同じように②のケースを考えると、

遺言書が無い場合、配偶者は3/4、亡くなった方の兄弟姉妹に1/3の相続がされることになっています。

実は、③も同じケースです。

遺言書が無い場合、配偶者は3/4、甥や姪に1/3の相続がされることになります。

しかし、この②③の場合の兄弟姉妹や、兄弟姉妹の子供(甥・姪)には「遺留分」がありません。

つまり、遺言書を書いておけば、全て配偶者に財産が相続されるのです。

こうしてみると「夫婦二人暮らし」であっても、遺言書を書いておいた方がいいケースもあることがお分かりでしょう。

 

ちなみに、亡くなった方に血のつながった子供がいた場合、

つまり、過去に離婚していて、その方との間に子供がいたとか、認知している子供(遺言書で認知することも可)がいる場合、

その子供は相続権も遺留分もあります。

この場合は配偶者が1/2、子供が1/2の相続をします。

遺言書を書くことで、子供の相続分を1/4にすることはできます。

 

 

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