【相続】もめないための予防策ともめた後の解決策について③
2020.01.24
遺産をめぐって兄弟で相続争いが生じる事例が多々あります。遺産のことで兄弟が仲違いしてしまっては、亡くなった親に申し訳ないでしょう。
円満に遺産分割協議が進むよう、この記事が参考になれば幸いです。
・遺産の独り占めなど、決められた相続分よりも多くの遺産を取得しようとする人がいる
遺言がなく相続人が複数いる場合は、法定相続分に応じて各相続人が遺産を取得できることになっていますが、相続人の間の力関係によって、一部の相続人が多くの遺産を取得しようとすることがあります。
予防策
相続人間の力関係に差がある場合に遺産分割を相続人間の協議に委ねてしまうと、トラブルに発展しかねません。
そこで、予防策としては、遺言で誰がどの財産を取得するか、きっちり定めておくことが考えられます。
遺言があっても相続人と受遺者(遺贈を受ける人)全員の合意があれば、協議によって遺言とは異なる遺産分割をすることも可能です。
・特別受益について意見が割れている
特別受益とは、相続人が複数いる場合に一部の相続人が被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。
特別受益があった場合は、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分が算定されます。このようにして相続分を算定することを「特別受益の持戻し」といいます。
遺贈や死因贈与(贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与)によって取得した財産については、基本的に、すべて特別受益に該当しますが、贈与によって取得した財産については特別受益に該当する場合としない場合があるため、その解釈を巡ってトラブルになることがあります。
予防策
この予防策としては、持戻しの免除が考えられます。特別受益の持戻しの免除とは、特別受益の持戻しをさせないことです。
特別受益の持戻しがあると贈与財産の価額が控除されますが、持戻しが免除されると、控除されません。
持戻し免除の意思表示の形式に指定はありませんが、遺贈による特別受益の持戻しの免除は、同じく遺言によるべきとする見解もあるので、念のため、遺言によって行うべきです。
贈与による特別受益の持戻しの免除は、遺言で行う必要はありません。明示の意思表示は勿論、黙示の意思表示も認められます。
ですが、黙示の意思表示は、しばしば相続人間におけるトラブルを引き起こします。黙示の意思表示の有無で相続人同士が揉めることがあるのです。黙示の意思表示の有無については、総合的に判断されますが、次のような事情があれば、意思表示があったと認められやすいでしょう。
- 受贈者(贈与を受ける人)により多くの財産を与えようという被相続人の意図がある場合
- 贈与の代わりに被相続人も利益を得ている場合
しかし、被相続人の立場としては、死後に相続人間でトラブルにならないように、明示の意思表示をしておいた方が良いです。なお、被相続人は持戻しの免除の意思を表示した後でも自由にこれを撤回することができます。
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