【相続】もめないための予防策ともめた後の解決策について②
2019.12.15
遺産をめぐって兄弟で相続争いが生じる事例が多々あります。遺産のことで兄弟が仲違いしてしまっては、亡くなった親に申し訳ないでしょう。
円満に遺産分割協議が進むよう、この記事が参考になれば幸いです。
・相続開始を知らないうちに他の相続人が相続していた
相続人が複数いる場合に相続手続きをして遺産を取得するためには、相続人全員が実印を押印した遺産分割協議書が必要になります(遺言がある場合は不要なケースもあります)。
したがって、基本的には、相続開始を知らないうちに他の相続人が相続していたということは起こらないのですが、相続人の一人が勝手に被相続人の口座から一定額以上の預貯金を引き出したり、手続きの必要がない動産を勝手に持って行ったりすることがありえます。
このような場合は、不当利得返還請求や不当行為に基づく損害賠償請求等をすることが考えられます。
・遺言書が有効か無効かで意見が割れている
遺言は次のような場合に無効となることがあります。
▶︎遺言者が遺言時に認知症等で意思能力がなかった
▶︎自書でない箇所がある
▶︎日付がない
▶︎署名がない
▶︎押印がない
▶︎変更が所定の方式にのっとられていない
▶︎表現が曖昧
予防策
遺言は、遺言者である親が亡くなって初めて内容が明らかになるものですので、相続人である兄弟が取りうる予防策は特にありませんが、遺言者の取りうる予防策としては、公正証書で遺言書を作成することが考えられます。
また、自筆証書遺言の場合であっても、2020年7月10日に改正民法の後は、法務局での保管制度が施行され、保管時に形式不備のチェックがあるため、この制度を利用することで自筆証書遺言でも無効になるケースは少なくなることが期待されますが、施行日までは利用できないので、公正証書遺言を利用すると良いです。
解決策
遺言者が亡くなった後は遺言に不備が見つかっても修正することができません。したがって、遺言を有効化するような対策はありません。
遺言が有効か無効か判断するためには、高度な専門知識が必要となります。
・遺言の内容が偏っている
遺言の内容が、一部の人ばかりが遺産を取得できるようになっていると不公平感からトラブルに発展しやすくなります。
また、一定範囲の相続人(配偶者、子(および、その代襲者)、直系尊属)には、遺留分といって、相続できる最低限の割合が法律上決められています。
遺留分を侵害する遺贈や贈与がなされた場合は、遺留分権利者は、遺贈や贈与を受けた人に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。
予防策
遺言者である親による予防策としては、遺言書を作成する際に遺留分を侵害しない内容にすることが挙げられます。
また、親が会社を経営している場合、後継者である子供に株式等の事業資産が集中することによって、他の兄弟の遺留分を侵害してしまうことがあります。
そこで、「将来の紛争防止のため経営承継円滑化法に基づく遺留分に関する民法の特例」を活用すると、後継者を含めた先代経営者の推定相続人全員の合意の上で、先代経営者から後継者に贈与等された非上場株式について、一定の要件を満たしていることを条件に、 ①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)又は ②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)をすることができます。
解決策
遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分侵害額請求によって、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することが可能です。
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