遺言書の書き方について⑨
2019.11.08
遺言書なんて、生きているうちに自分が死んだ後のことを話すのは縁起が悪い、と考えられてきましたが、「終活」の普及とともに自分が死んだ後どうして欲しいかということをきちんと表明しておいた方が良いと考えられる方も増えてきており、生前に遺言書の作成を検討される方も増えてきたのではないかと思います。
ただ、遺言書の書き方には法律上細かいルールや注意しなければならない点がたくさんあります。
良かれと思って遺言書を作成したのにかえって無用な争いを生んでしまうことの無いよう、今回も前回に引き続き、遺言書の書き方や種類、文例などについてご紹介致します。
「遺贈する」と「相続させる」の違い
遺言には、「○○を○○に遺贈する。」と書くこともあれば、「○○を○○に相続させる。」と書くこともあります。
「遺贈する」と「相続させる」の違いについてご説明致します。
まず、遺言によって財産を承継する人が法定相続人(法律の定めに則ると相続人となる人)でない場合は、「相続させる」ことはできず、「遺贈する」ことしかできません。
遺言によって財産を承継する人が法定相続人である場合は、「相続させる」ことも「遺贈する」こともできますが、「相続させる」と書くことをお勧めします。
「相続させる」と「遺贈する」に違いが生じるのは、遺言によって承継される財産に不動産が含まれている場合のみです。
「相続させる」には、次のようなメリットがあります。
・不動産登記がスムーズ
・借地権や借家権について賃貸人の承諾が不要
なお、かつては、「相続させる」の場合は、農地取得について農業委員会や知事の許可が不要というメリットがありましたが、この点は「農地法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」(平成24年12月14日付け法務省民二第3486号)によって「遺贈する」の場合も不要となりました。
・不動産登記が単独でできる
不動産登記の際に、「相続させる」の場合は、遺言で指定された相続人が単独で登記することができますが、「遺贈する」の場合は相続人全員の協力が必要となります(遺言執行者がいる場合は、「遺贈する」の場合でも遺言執行者と受遺者だけで登記でき、相続人の協力は不要)。
・借地権や借家権について賃貸人の承諾が不要
「遺贈する」の場合は、借地権や借家権の遺贈を受けるのに賃貸人の承諾が必要ですが、「相続させる」の場合は不要です。
相続させる旨の遺言のデメリット
相続させる旨の遺言にも全くデメリットがないわけではありません。
相続させる旨の遺言をした場合に受遺者が遺言の利益を放棄して本来的な相続分のみを相続したい場合に、受遺者の意思表示だけでは、これを行えない可能性があります。
遺贈する旨の遺言であれば、受遺者は、自らの意思表示のみによって遺言の利益を放棄することができます。
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